なぜ、4つのキャスターを同時に使用する場合、耐荷重を単純に「4倍」で計算できないのでしょうか?
公開日:Apr 30,2026
多くの人はキャスターを選ぶ際に、非常に単純な考え方をします。一つのキャスターが100kgの荷重に耐えられるなら、4つのキャスターを併用すれば、合計で400kgではないか——というわけです。数字上はこの計算でも問題ないように思えますが、実際の使用環境では、キャスターの総荷重許容能力を単一キャスターの許容荷重に4を掛けた値で単純に算出することはできません。業界ではむしろ、車両全体の荷重許容能力を3つのキャスターで評価する方法が一般的であり、このほうが安全性が高く、実際の使用状況にもより適合しています。
一、なぜ単純に4倍で計算できないのか?
その理由は、実際の使用時には、4つのキャスターが常に「均等に荷重を受ける」状態にはならないからです。床面が平坦でなかったり、機器の重心がずれたり、設置精度に誤差が生じたりすることがあります。機器が静止している場合でも移動している場合でも、通常はいずれかのキャスターにかかる荷重が大きくなり、またあるキャスターでは一時的に荷重が小さく、さらには浮き上がった状態に近くなることもあります。このように、4つのキャスターが重量を均等に負担しているわけではなく、したがって総支持荷重も、理論上の4倍という考え方では正確に捉えられないのです。
二、荷重の不均等な配分が最も一般的な原因である
機器の重量は、自動的にすべてのキャスターに均等に分散されるわけではありません。たとえば、荷物の配置が片側に偏っていたり、機器自体のモーターや筐体、サポートフレームが特定の位置に集中していたりすると、重心がずれてしまいます。一旦重心が中心部から外れると、重心に近いキャスターにかかる荷重が増加します。つまり、たとえ4つのキャスターを装着していても、実際に主な荷重を受けるのは、往々にしてそのうち2~3個に限られるのです。
三、動的使用時には、荷重の変化がより顕著になります。
キャスターは静止状態でのみ機能するわけではなく、多くの場合、搬送や方向転換、段差や床面の目地を通過するといった動作も行います。これらの動作中には、荷重が絶えず変化します。機器の始動・停止・旋回時には局所的な衝撃荷重が著しく増大し、特定のキャスターにかかる瞬間的な圧力が静止状態よりも高くなることがあります。それでもなお「単輪負荷×4」で選定を続けると、キャスターが長期間にわたり過負荷の限界付近で稼働することになり、寿命や使用上の安全性に悪影響を及ぼすおそれがあります。
四、キャスター自体の構造も全体として検討する必要があります。
キャスターの耐荷重能力は、単にキャスターホイールの素材だけでは決まるものではなく、フレームの厚さ、ベアリングの構造、取り付け方法、回転盤の強度などの諸要因にも左右されます。試験室条件下での個別キャスターの耐荷重データは、複雑な稼働条件におけるキャスターシステム全体の実際の性能を必ずしも反映するものではありません。特に、頻繁な移動や重荷重の搬送、あるいは路面状態が良好でない環境下で使用される機器については、キャスターに十分な安全余裕を確保することが重要です。
五、なぜ業界ではしばしば3個のキャスターで計算するのでしょうか?
これは、キャスターを3個で計算することで、不整地や偏荷重、動的衝撃といった状況をより現実的にカバーできるからです。例えば、機器の総重量と荷重を合わせて300kgである場合、キャスターを3個で計算するなら、各キャスターは少なくとも100kg以上を支えられるものを選ぶ必要があります。4個のキャスターで均等に負荷を分散させる場合に、単純に75kgの定格を持つモデルを選ぶのとは異なります。このように選んだキャスターのほうがより安定しており、後々の変形や動作不良、破損などの問題を回避しやすくなります。
六、選定時には他にどのような要因に注目すべきでしょうか?
耐荷重を確認するだけでなく、車輪径、材質、使用頻度、および設置環境を総合的に考慮して判断する必要があります。たとえば、設置面が比較的粗い場合には、車輪径と耐荷重余裕を適切に増やすべきです。また、装置を長距離にわたり搬送する必要がある場合は、転がり抵抗も考慮しなければなりません。さらに、斜面や段差を頻繁に通過したり、衝撃荷重がかかる場合にも、安全率を引き上げる必要があります。これらの要素を総合的に検討して初めて、キャスターの選定はより信頼性の高いものとなります。
まとめ
4つのキャスターを同時に使用する場合、総荷重を単一のキャスターの許容荷重に4を掛けた値で直接算出できないのは、実際の稼働条件下では荷重が均等に分散せず、さらに機器の移動中に衝撃や偏荷重が生じるためです。安全性と耐久性を確保するため、キャスターの選定は通常、3個のキャスターで支えることを前提として行い、機器の重量、重心位置、路面条件および使用方法を総合的に勘案して判断します。適切に選定すれば、機器の運転はよりスムーズになり、キャスターの寿命も延びます。