病院のキャスターは侮れない:医療機器用キャスターの選び方とメンテナンスガイド
公開日:Aug 23,2025
病院では、キャスターはさまざまな医療機器の「見えない脚」として、病床、カートから機器台まで、ほとんどすべての移動が必要な機器に欠かせません。しかし、医療現場のキャスターは普通のキャスターではなく、静音、防滑、清掃のしやすさ、感染防止などの特殊な要件を満たす必要があり、選択や使用を誤ると診療効率や患者の安全に影響を及ぼす可能性があります。今日は医療機器のキャスターの選び方と日常のメンテナンスのコツについて、第一線の医療スタッフの経験をもとにお話しします。
異なる医療機器では、キャスターのニーズも大きく異なります
病院の機器は機能が多様で、キャスターに求められる要件もさまざまです。同じキャスターを盲目的に選ぶと問題が起きやすいです。
病床のキャスターは最重要で、重さに耐え(病床+患者で300キロを超えることも)、かつスムーズに移動できる必要があります。この種のキャスターは必ず ダブルブレーキシステム を備えていなければなりません。車輪の回転をロックできるだけでなく、旋回軸も固定でき、坂道や押すときの誤滑りを防ぎます。車輪の素材は高弾性ポリウレタンを選び、押すときに静かで患者の迷惑にならず、特に夜間の巡回時に患者を起こしません。また、病床のキャスターのブラケットは厚手の鋼板で作られ、角は丸く処理されていて、患者や壁を傷つけるのを防ぎます。
治療用カート(点滴カートや処置カートなど)は毎日病室とナースステーションを行き来するため、キャスターの機動性と安定性が非常に重要です。おすすめは 自在輪+固定輪の組み合わせ で、カートの前端にブレーキ付きの自在輪を2つ付けて方向転換を容易にし、後端に固定輪を2つ付けて直進時の偏りを防ぎます。車輪の直径は5~6インチが最適で、床の敷居の隙間を楽に越えられ、カートの重心が高くなりすぎて揺れるのを防ぎます。
機器(モニターや超音波機器など)のキャスターは精密さが求められ、わずかな揺れも許されません。この種のキャスターは必ず 減震機能 を備え、車輪内部に弾性のクッション構造があり、移動時の振動が機器の精度に影響しないようにします。素材は化学腐食に強いナイロンを優先し、機器周辺は消毒液で頻繁に拭かれるため、普通のゴム製キャスターは腐食やひび割れが起こりやすいです。
医療用キャスターの選定で注目すべき3つのポイント
病院環境は特殊で、キャスターを選ぶ際には基本的な耐荷重やサイズのほかに、以下の3つの細部を絶対に見逃してはいけません。
感染防止設計は最低限の条件です 。医療用キャスターは 隙間のない構造 で、車輪とブラケットの接続部に溝や穴があってはならず、そうでないとほこり、血液の跡、消毒液の残留物がたまりやすく、細菌の温床になります。現在の高品質な医療用キャスターは全包み込み設計で、表面が滑らかで清掃が簡単で、アルコールで拭いても汚れが隠れません。ベアリング付きのキャスターは密封ベアリングを選び、汚染物質の侵入を防いで回転に影響を与えません。
静音性能は患者の休息に影響します 。病室のキャスターの騒音は50デシベル以下に抑えなければならず、これは通常の会話の音量に相当します。キャスターの静音効果のテストは簡単で、機器をタイルの床の上で押し、1メートル離れた耳で明らかな「ゴロゴロ音」が聞こえなければ合格です。ポリウレタン製の車輪はゴム製より静かで、大きな直径の車輪は小さいものより転がる音が小さいため、選定時に優先的に考慮できます。
耐荷重の安全係数に余裕を持つこと 。医療機器のキャスターの耐荷重は「ちょうど足りる」程度で選んではいけず、50%以上の安全余裕を持たせる必要があります。例えば実際の耐荷重が200キロのカートなら、キャスターの定格耐荷重は少なくとも300キロでなければなりません。機器の移動時に衝撃を受けることがあり、瞬間的に耐荷重が増加し、長期間のフル負荷使用はブラケットの変形や破損を招き、安全リスクがあります。
日常のメンテナンスをしっかり行えば、キャスターの故障は減ります
医療用キャスターは毎日頻繁に使われるため、メンテナンスをしっかり行うことで故障率を下げ、寿命を延ばせます。
毎日の清掃は省略できません 。勤務終了前に中性洗剤を含ませた布でキャスターの表面を拭き、特に車輪の隙間にたまった髪の毛、糸くず、ほこりを重点的に清掃します。血液や薬液が付着した場合は、すぐに消毒液で拭き取り、汚れが固まって落ちにくくなるのを防ぎます。清掃時にブレーキの感度もチェックし、ブレーキを踏んで機器を押しても車輪が微動だにしなければ正常です。
定期的な潤滑で引っかかりを防止 。毎月キャスターのベアリングと旋回軸に医療用潤滑油を1回滴下し、食用油は使わないように注意します。食用油はほこりを引き寄せて引っかかりの原因になります。潤滑後は機器を前後に数回押して潤滑油を十分に浸透させ、回転時に異音がなければ潤滑が適切に行われたことを示します。
摩耗部品は速やかに交換 。車輪の表面にひび割れが見られたり、ブレーキが効かなくなったり、回転時に異音がする場合は、すぐに機器の使用を中止しキャスターを交換してください。交換時は型番の適合に注意し、特に病床のキャスターは純正部品を使い、普通のキャスターを代用してはいけません。予備のキャスターは乾燥して風通しの良い場所に保管し、直射日光によるゴムの劣化を避けてください。
医療用キャスターは小さいですが、病院の安全な運営にとって重要な役割を果たしています。適切な型番を選び、メンテナンスをしっかり行うことで、機器の故障を減らし、交差感染のリスクも低減し、医療スタッフの作業をスムーズにします。次回病院でキャスターを購入または交換する際は、これらのポイントを参考にチェックして、小さな部品が医療の質に影響を与えないようにしましょう。もし科室のキャスターに異音やブレーキの不具合があれば、必ず速やかに設備科に報告してください。
次条
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